学校で覚えた英文法では英語は話せない?

英文法に対する意見を読んでいるとよく目にするのが、「学校で覚えた英文法では英語は話せるようにならない」という意見。

確かに中学高校と6年みっちり英語を勉強したのに全く英語が話せない方がほとんどだと思います。

ですが、それは覚えた英文法がダメなのではなく、話すために必要な英文法を会話と結びつけて覚えていないので、会話の際に英文法を上手に使いこなせていないだけです。

中学高校での英語学習はペーパーテストありきの教育なので、英文読解が中心の勉強になっています。

そのため日本人は英文をじっくり見ながら時間をかけて読解していくことは得意でも、一瞬で相手の言うことを理解し、一瞬で言いたい英文作成を行うことが苦手です。

また、中学高校で習う文法は、用語や説明がとても複雑なうえに、会話と英文法を結びつけて体に覚えさせるようなレッスンを行っていないので、状況に応じた英作文を一瞬で行うことができません。

どんなに難しい英文法を覚え、人に説明できるぐらい理解できていたとしても、英作文に時間がかかりすぎてしまえば会話は成立しません。

間違った文法でも結構相手に伝わる

以前は私もその傾向にあったので、こういう方の気持ちが非常に分かるのですが、日本人は中学高校で勉強した英文法を正確に使いこなそうとします。

ですので、その英文の文法が正確なのかどうなのかが気になってしまい、言葉に出てこないということがあります。

  • 頭の中ではなんとなく英文が出来上がっているのに、文法の正確性を気にするがあまり言葉にならない。
  • もし文法が間違っていたらどうしようという気持ちが先行してしまい、恥ずかしくて英語が口から出てこない。

こんな状況の方が多いので、こんなアドバイスをされると思います。

「文法など気にせずどんどん話しましょう」

これ私も全くその通りだと思うのですが、、これは文法を覚えなくてもいいと言うことではなく、話す際に必要な英文の仕組みや規則である話すために必要な最低限の文法を覚え、間違ってもいいのでどんどん口に出していきましょうということです。

間違った文法でも堂々と話すことができれば、話すために必要な英文法はどんどん身につきますし、文法など多少間違っていてもたいがい通じます。

ですが、文法を勉強していないと、その多少間違った文法の英文すら出てきません。

生活の中で自然に文法を習得できるのは子供だけ

赤ちゃんが覚えるようにとか、ネイティブは文法など意識せず日々の生活の中で英語が話せるようになるなど、英文法など覚えずとも日々英語にさえ触れていれば英会話ができるようになるかのように書かれているサイトが後を絶ちません。

これはこれでひとつの考え方であり、その方にとってみれば自分が英会話を勉強してみて得た個人的な意見なのかもしれません。

ですが、私はここであえて断言しておきます。

英語に毎日触れているだけで英文の仕組みを覚える為には、気の遠くなるような膨大な時間と、気の遠くなるような回数の繰り返しが必要です。

しかも大人になるにつれこの習うより慣れろという勉強方法が苦手になっていきます。

※批判は甘んじてお受けします。

英語に触れているだけで英語が話せるようになったと言う方は、いったい何万時間、何万回繰り返し同じ英文に触れたらできるようになったのでしょうか?

実は、幼児期であればこれが通用するといわれていて、一説によると4歳ぐらいまでの幼児期であれば、英語に触れているだけで英語の仕組みを体得できるそうなのですが、毎日8時間両親と英語で会話をしたとして3歳児のレベルになるまでには、3年の月日が流れています。

これを時間にすると、8時間X1095日=8760時間 です。

ではこれを私達大人に当てはめて考えてみましょう。

仕事が忙しい中なんとか4時間を絞りだし、毎日4時間英語に触れたとしても、単純計算で6年かかって3歳児の英語力という計算になります。

幼児ですらこれだけかかって3歳程度の英語力なわけですから、体で覚えるのが苦手な大人がこれを行うのは非常に効率が悪いわけです。

だからこそ、大人の場合は英語の仕組みの規則である英文法を覚えたほうが早いという理屈です。

幼児は文法理解できませんが大人は理解できるという最大のアドバンテージを利用しない手はありません。

経験上、毎日4時間の3年間、やるべきことをしっかりこなすことができれば3歳児以上の英語力になるはずです。

話すために必要な英文法を覚えたらひたすらアウトプット

話すために必要な最低限の文法を覚えたら、また文法書を読み返すのではなく、スピーキングや文字にして英作文をひたすら行います。

実際に声に出すスピーキングとライティングである英作文は一見全く違うレッスンのようにみえますが、どちらも英文を作る(組み立てる)という意味では同じ作業です。

どちらも大枠ではアウトプットなので、どちらでもOKですが、とにかくひたすら繰り返し何度も何度も行います。

ただし、ここで重要なのは必ずネイティブに添削をしてもらうと言うことです。

答えが出ているような英作文のドリルを利用する場合は問題ありませんが、覚えた文法を使ってアウトプットをする場合はその英文のどこが間違っているのを指摘されなければ、間違ったままどんどん進んでしまいます。

しかも、添削をしてもらうなら英語ネイティブにしてもらわなければ意味がありません。

英語講師ではダメなのか?ということを考える方もたくさんいると思いますが、ネイティブでなければ、ネイティブが使う表現が分かりませんし、ニュアンスも分かりません。

どうしても日本人英語講師に添削を依頼する場合は、実際にネイティブが使っていない表現が混ざることを覚悟しましょう。

留学経験者・英語圏在住者・日本人バイリンガル・通訳、どんなに英語を勉強して努力した方でも、英語圏で生まれ育っている「帰国子女」以外は、実際にネイティブが使う英語で添削することは難しいと思います。

ただし、べつにそこを気にしないのであれば、だれに添削してもらってもいいと思います。

どうせならネイティブが使う英語を覚えたいですが、多少表現は変わっている英語でも、相手に通じさえすれば会話は成立しますので、流暢にこだわらなければそれでもいいと思います。

ですので、まずは文字で英作文をし、添削後に正しい英語表現を覚え、そのあと声に出してスピーキングをするというのがベストですが、音読は自己流の発音で行うととても危険なので、必ずネイティブの綺麗な発音音声を聞きながら発音を真似てみるリピーティングやシャドーイングを行うようにしてください。

この行為を何度も繰り返し一瞬で言いたい英文が組み立てられるようになれば、話す(言いたいことを表現する)ということと、話すために必要な英文法が紐付けられたことになります。

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リスボン
イングリッシュプラス編集部リスボン。留学経験なし。英会話教室に通った経験なし。英語を学び十数年。英語ネイティブの先生に英文法やニュアンスの質問ばかりして嫌がられています。