文法なんて気にしてるから話せるようにならないんですよ

英会話の学習をしていると、「英語ネイティブは英文法なんて気にしてないし、英文法なんて知らなくても英語は話せる」という理論を耳にする機会があるかと思います。

習うより慣れろだよ・・・英語をシャワーのように浴びてれば・・・。

有名なのは「聞き流すだけで」ってやつです。

私は知り合いのバイリンガル(英語圏3か国に留学で本当にペラペラ)の口からこれを聞いてびっくりしたことを覚えています。

この方は、英語ネイティブと普通に会話をしている人だったので、問題なく日常英会話ができる方でしたが、英会話の学習で英文法の勉強は必要ないし、「英文法なんて気にしてるから話せるようにならないんですよ」と言い切っていました。

この当時は、なるほどー目からうろこなんて思ってましたが、英語の学習が進むにつれこの話に違和感が出てきます。

確かにネイティブは文法を気にして話はしてないよね

私は英語ネイティブではありませんが、これを日本語と日本人に置き換えて考えてみると、確かにネイティブは会話の際に文法を意識することはないだろうなあという予想は付きます。

ですが、それは意識をせずとも会話ができるというだけで、ネイティブが英文法を理解していないということではありません。

私たちは日本語のネイティブなので、日本語を話すときにいちいち文法なんて気にして話していません。

例えばですが、下記の穴埋め問題をやってみてください。

【問題1】

下記の英語を日本語に訳した場合()に当てはまる語句を入れなさい

I would like to go to Montreal.
「モントリオール(  )行ってみたいです」

これ余裕ですよね。

モントリオール ( が )
モントリオール ( の )

とはなりませんよね。

正解は「に」か「へ」ですが日本人なら一瞬で出てきたはずです。

これなぜ一瞬で出てきたか説明できますか?

助詞の位置や助詞のコアイメージを気にしました?

1つずつ英単語と日本語の意味を確認しながら答えを出しました?

おそらく、何も考えずに、無意識に出てきたかと思います。

なぜ無意識に出てきたのか?

それは、私たち日本人が年齢を重ねるごとに日本語のパターンをたくさん覚えてきたからです。

それも話すのに不自由がないレベルの数の日本語のパターンを無数に覚えていて、しかもそのフレーズをどの場面で使うかという経験も豊富なので無意識に答えられるわけです。

勘というと語弊があるかもしれませんが、たくさん知っているフレーズを脳の引き出しの中から、必要に応じて一瞬で感覚的に引き出せるという感じでしょうか。

これを英語と英語ネイティブに置き換えてみます。

【問題2】

この英単語を適切な順番に並び替えなさい。

Montreal go I to would to like.

英語ネイティブであれば、英文を一瞬で並べ替えることができるでしょう。

英語ネイティブもまた、生活に困らないレベルの英文のパターンが頭に入っているので、無意識かつ一瞬で出てくるわけです。

これが、英語ネイティブが文法を意識しなくても英語が話せる理由の答えだと私は考えています。

ネイティブも英文法をしっかり理解している

私は、ネイティブはたくさん英語のフレーズパターンを知っていて、それをどこで使うかという経験も豊富なので文法を意識せずに会話ができるという予想を立てたわけですが、ネイティブは英文法を意識していないだけで理解はしていると考えています。

その証拠に、私の知り合いの英語ネイティブ(先生含む)に文法の説明を求めてみると、みなさん英語パターンを元にしっかり文法を説明してくれますし、ネイティブに確認してみたら「子供のころに文法の勉強させられるよ」と言っていました。

英文のパターンを覚えるという行為が、文法を覚えるのと全く同じだという考え方の英会話教材

じゃあやっぱり英会話の勉強しなきゃ話せるようにならないよね。

ということになるわけですが、英文法を覚える場合、下記ような理屈や文法用語を覚えなければならないので、アレルギーが出る人多いですよね。

【例】 私は本を読むことが好きです。

I
主語(S)
like
動詞(V)
to read
不定詞
a book.
名詞

・1つの英文に動作(動詞)を2つ入れる場合は、後ろの動詞を原形にする
・動詞の原形の前に“to”を入れて名詞にする
・~することという意味になる

これは【不定詞】と呼ばれる英文法を使った英文ですが、ネイティブは“I like to read a book.”というような文章を、普段の生活の中で使いながら無数に覚えて行くということで、会話ができるようになっているのだから、「同じように様々な文法パターンの日常会話で頻出する英文を丸暗記するのが一番の近道だ」というのが、多くの英会話教材制作者の持論です。

つまり、様々な英文を頭に入れて使うことで、自然と英文法が身についているという理屈です。

英文を覚える教材でフレーズを丸暗記すれば話せるんだから、英文法なんて勉強する必要ある?

さあ、ここで問題です。

A:見出しの通り、会話ができるまで英語フレーズを永遠に覚えるのがいいですか?

B:それとも、先ほどの不定詞のように英文のルールを1つ覚えてしまい、あとは応用を効かせていく方がいいですか?

どちらを選ぶかは本人次第ですが、私なら永遠に英文を暗記するなんてだたの苦行に思えてしまいます。

実際に英文の丸暗記は行ったことがありますが、全然面白くないですしね。

ですので、Aに関しては、終わりがないですし、何年かかって何個英語フレーズを覚えれば会話できるんでしょうか?という疑問が出てきますよね。

これができる人は、これでもいいんです。

でも、ほとんどの人はこれができません。

時間もかかりますし、何より大人になってからの暗記は、本当にハードルが高いです。

しかも、語彙量を考えると相当お金かかりませんかね?

ですのでそれが苦行だと感じるのであれば、必要な英文法をしっかりと覚えることにより、応用を効かせて英文を組み立てることのほうが現実的と言えます。

ただし、「頻出するフレーズを知っている」というのも英会話では必要なので、ある程度は覚えてしまいたいですよね。

英語フレーズを覚える行為というのは、文法と紐づけながら覚えていくとハードルがぐっと下がります。

文法を理解していれば、英文を暗記ではなく理屈で覚えることができるので、忘れにくくなるというメリットもありますし、効率的に覚えるのであれば英文法の理解とフレーズ暗記はセットで行いたいですね。

結局英文法なのか?フレーズ暗記なのか?

結論をいうと両方という言い方になってしまうのですが、

英文法をしっかり理解した上で、フレーズ暗記はよく使われる英文だけに絞って覚えるようにし、あとは自分で英文を組み立てられるようひたすら英作文というのが最も現実的かなと思います。

英文の理解も大切だし、頻出のフレーズをある程度知っていることも必要。

でも英文法を学ぶ仕組みになっている教材が少ないのも事実で、スピードラーニングのように何の説明もなく、ただひたすら48巻を4年間かけて英語を覚えていく道を選んだ教材もありますので、教材選びは重要だと思います。

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リスボン
イングリッシュプラス編集部リスボン。留学経験なし。英会話教室に通った経験なし。英語を学び十数年。英語ネイティブの先生に英文法やニュアンスの質問ばかりして嫌がられています。